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[Alexandros] 「『NEW WALL / I want u to love me』」

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[Alexandros] -LINK-

オフィシャルサイト(JP)
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古田琴美─2016.4.25─
ニューシングル『NEW WALL / I want u to love me』をリリースした[Alexandros]。
 
IMG_8284.JPG
 
今作「NEW WALL」は
 
”もう一回
息を吸って
吹き返してみよう”
 
”もう一回
息を吐いて
闇を抜け出そう”
 
という歌詞から始まり、Vo.Gt 川上洋平の歌、そしてピアノ、ストリングスの旋律が素晴らしく、イントロから既に彼等の新しい壮大な景色が広がっている。
 
この曲は、今、そして、これから先、人生の中でいつ何時も背中を押し、励みになるだろう。そしてこの素晴らしい楽曲の誕生に、私は心から興奮した。
 

3月末には自身初となる最大規模、幕張メッセでのワンマンライブ(チケットは即完売)を大成功に納めたライブ映像『[Alexandros] live at Makuhari Messe "大変美味しゅうございました"』をリリースし、自身の映像作品の中で過去最高の売上を記録した本作。

前回『Girl A』でのレコメンド記事でも書いたけれど、彼らはツアー初日から圧巻のライブを見せ、私は居ても立っても居られず、そこから行ける限り各地のライブを観に行った。幕張メッセワンマンライブ、そして本当のツアーファイナル、仙台まで駆け抜けた。
 
彼らの1つの節目である幕張メッセでのライブは、本当に素晴らしかった。
 
「live at Makuhari Messe "大変美味しゅうございました" 」Trailer
 

「Boo! (Live at Makuhri messe 2015.12.19)」


幕張メッセは、彼らがまだサラリーマン時代に仕事で現場に入っていた場所でもあり、”ここでワンマンライブをする事が1つの夢だった”というエピソードもある。

大歓声と共に4人が登場し、花道を使用したり、ステージバックには曲に合わせてリリックムービーが流れたりと、彼ららしいロックスター風な装飾が施されていた。アンコールでは幕張メッセ中央に360度見渡せるセンターステージを作成し、この日だけの特別な空間を築き上げた。

生で観た時は遠目だったけれど、映像で観直してみるとメンバーが向かい合って時折笑顔を見せて演奏したり、とてもリラックスした様子で、前半のステージとはまた違ったアットホームな雰囲気もまた良かった。演奏された楽曲も、[Champagne]から[Alexandros]に改名後1発目にリリースされたシングル「Adventure」(5th Album「ALXD」にも収録)や、現在では彼等が大事な節目のライブの際にしか演奏しない「Untitled」(1st Album「Where's My Potato?」収録)まで、昔からのファンにとっても感動の演出だった様に思う。
 
幕張メッセライブ映像には、幕張メッセライブ本編に加え、ドキュメンタリー、昨年夏に日本武道館で開催された「Premium V.I.P. Party 2015」(初回限定版のみに収録)、幕張メッセライブオーディオコメンタリー(副音声)が収録されている。それらの映像全てを観ることによって、このツアーが本当の意味で完結する。なぜなら、今回の国内、そして香港、台湾で行われた海外ツアーでの模様をモノクロでドキュメンタリーにしている映像は、まるで映画の様で、バックステージの映像の中でも、普段見せることのないライブ後のメンバーの苛立ちなど、カットしても良いだろう映像を、包み隠さず収めているのだ。

これには少し驚いた。

全てのライブが完璧なんてことは稀だと思う。そして、例えライブが完璧だったとしても、次の成功に繋がるとは限らない。人間誰だってミスはするし、機材トラブルも起こり得る。それでもその瞬間を超えていく技量や精神面を持ち合わせていき、その瞬間に訪れる”壁”を壊して、突き進んでいくことが更なる成長へと繋がっていくのだ。

私はその映像を観て、綺麗な部分だけではなく、生々しい姿も魅せていく[Alexandros]の覚悟と決意を感じた。このドキュメンタリー映像は本当に素晴らしい。各地のライブは勿論、彼等の音楽への想い、そしてライブへの真意も知れる映像になっているので、是非観てもらいたい。

そして、幕張メッセ映像の初回限定版のみに収録されている、昨年夏に日本武道館で開催された「Premium V.I.P. Party 2015」では、もはや武道館が小さなライブハウスに見えてしまうくらい圧巻のライブを魅せている。2度目の武道館ということもあり、彼等の貫禄あるステージは流石の一言しかなかった。

更にメンバーが幕張メッセライブの映像を観ながらコメントを収録しているオーディオコメンタリー(副音声)では、幕張メッセライブでの貴重な裏話や、ライブ以外の話も織り交ぜながら観る、という、まるでメンバーと一緒にライブを観ているかの様な幻想を抱けるという、ファンには堪らないであろう特典映像的なもの。真面目な話から笑える話まで、かなり深く、面白い内容になっている。
 
そして、幕張メッセライブ映像には収録されず、ライブでは、まだタイトルも決まっていなければ、メロディも構成も歌詞も(ライブ時は全て英詞で披露)完璧な状態ではないまま、今作「NEW WALL」は「未完成の新曲」として初披露された。

”未完成の曲”なんて、普通だったら絶対に披露したくはないはずだ。しかし、彼らは
幕張メッセという広い会場で鳴らす開放感と共に、オーディエンスと「未完成の新曲」を創っていきたい、と、自身の新たな挑戦と決意を見せた。豪華なストリングスと共に披露された「未完成の新曲」=「NEW WALL」は、広い会場で鳴らせば鳴らすほど、多幸感に満ち溢れていた。昨年の夏頃からあったこの曲は、幕張メッセで鳴らされるべく、やっとの想いで演奏されたのだ。メンバーも、新曲を披露して初めてわかる誕生の瞬間をたくさんのオーディエンスと共に分かち合えて、とても嬉しそうだったのを鮮明に覚えている。

今作「NEW WALL」は、全世界で人気を誇る『テイルズ オブ』シリーズの新作アプリ「テイルズ オブ ザ レイズ」のタイアップ・テーマソング”。幕張メッセライブ後に完璧に完成した「NEW WALL」は目の前に立ちはだかる”新しい壁”を歓迎する意味を込めて、”Hello New Wall”と歌っている。”障壁”をも歓迎するのは、もはや彼らしかいないだろう。
 
思えば彼らは、バンド名を[Champagne]から[Alexandros]に改名した後にリリースされた「Adventure」でも”Hello”と歌い”いつだって 僕達は 君を連れて行くんだ”と歌っている。
 
「Adventure」MV
 
彼等は常に目の前にある壁を破壊し、突破して来た。

人生には、誰にだって突如として壁は現れる。

それがどんな壁かは人それぞれだが、その壁を突破出来るかは、その人自身にかかっている。

そして、その壁が大きければ大きい程、試される。

周りから何を思われたっていい、メンバーを信じ、自分達から産まれる音楽を信じて、欲だけを満たす事なく、着実に歩んで来た彼等は、今回「NEW WALL」と題した曲を産み落とした。

それは、彼等自身の新たな挑戦だ。

そしてメロディから多幸感が溢れているのは、彼等が今まで積み上げてきたものが少しずつ開花し始め、より自由に音楽を奏でる事が出来たという喜びだ。
 
最新アルバム『ALXD』で自身の音楽をより多くの人に届ける事が出来た。でもまだまだこんなものではない。彼等がデビュー前から掲げている目標は「世界一のバンドになること」。
 
今後、彼等の前にいつ、どんな”壁”が来るかは誰にだってわからない。

でもその”壁”はきっと、突破出来ない人の前には現れないはずだ。

これから彼等の目の前にどんな大きい”壁”が現れようとも、彼等は永遠に”Hello New Wall”と歓迎し、突き進んでいくだろう。
 
そして「NEW WALL」とは対照的な楽曲「I want u to love me」。
MBS/TBS系ドラマ「女くどき飯 Season2」の主題歌だった(放送は3月で終了)今作は「女くどき飯 Season1」でも「Dracula La」(「ワタリドリ」とのダブルAサイドシングル、5th Album「ALXD」にも収録)が主題歌だったので、もしや「Dracula La」の続編だったりもするのかと思っていたらその通り。当初その予定で曲を創っていた訳ではなかったそうだが、結果、ドラマ主題歌の話を貰い完成させたというエピソードも加えつつ、今回もやはり裏切られた、というより、むしろ期待以上だった。
 
ちなみに「女くどき飯 Season1」主題歌の「Dracula La」は[Alexandros]流パンクソングで、最近のライブではリリース当初とは桁違いの盛り上がりを魅せている。
 
「Dracula La」MV
 
今作の「I want u to love me」は既にライブでも披露されていて、音源とはまた違った憎らしいアレンジが加えられ、広い会場でオーディエンスの合唱と共に聴くのがまた最高に気持ち良い。
 
[Alexandros]の面白いところは「Girl A」「NEW WALL」「I want u to love me」という全く異なるサウンドを、全て同じ人達が創っているということ。「I want u to love me」に関しては、彼等の内面にあるヤンチャな部分が全面に押し出され、まるでおもちゃ箱の引き出しからそのまま飛び出て来たかのような、ユーモアたっぷりのキャッチーな楽曲。ラストにはプロの聖歌隊の子供達の合唱まで入り、歌詞は彼等の決意と遊び心を組み合わせた内容で、一筋縄じゃいかないところも彼ららしい、思わず”やられた!”と思わずにはいられない。
 
毎回、彼らの楽曲から様々な音楽要素が出てくること、そして最近ではそれを世に出した時にしっかりと結果もついてくることが嬉しくて仕方ない。もちろん知識や才能もあるけれど、大きな目標を持ち、背伸びせず地道に足元を固めながらいくつもの”壁”を突破して来たからこそだと私は思う。

そして”失敗は成功のもと”という言葉が存在する様に、目の前に立ちはだかる”困難”=”壁”を破壊して、自ら音楽を自由に楽しみ、それを聴く私達が勇気を貰い、”音楽ってやっぱり素晴らしいし、楽しい”と思わされるのだ。
 
 
世界一を目指すバンド[Alexandros]。
まだまだ道程は険しいけれど、この先、どこまでも突き進んでいって欲しいと心から思う。
 
 
 
長くなりましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

古田琴美

BIO
タワーレコード渋谷店に2003.4月〜2015.7月まで勤務していました。
Twitter:http://twitter.com/kotomifuruta