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Turntable Films オフィシャルインタビュー(後編)
(2020.11.11)

じゃあ、これも日本におけるTurntable Filmsのポジションについての質問です。タンテって、クラブ・ミュージックが鳴っている〈セカンド・ロイヤル〉のパーティで演奏するというところから世間一般に発見されるというバンドでもあったわけですよね。当時もある種の居心地の悪さがあったと思うんですけど。

井上「そりゃ、当初はありましたよね。どういうテンションで接したらいいのかとか、お客さんにどういう見せ方をしたらいいのかとか。あと、夜だから眠いし(笑)。」

「でも、〈セカロイ〉の人らとかも、DJの人らとかも、みんな音楽が好きやから、楽しみ方が違うだけで、結局友達にはなりやすいイメージですね。」

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ただ、それ以降の活動の中で、これは俺たちの場所かも、と思えるバンドの繋がりとかフェスの現場とかって、あったりはしたんですか?

井上「ライヴで誰かと共演したり、フェスに出ていたりすると、「俺らの音楽って誰が好きなんやろう?」とかは思うけど(笑)。でも、宗さんの質問は、この人たちと繋がっているところは少なからずあれど、一緒に頑張ってコネクトしてやっていこうぜっていう場所って結局なかったんじゃないの?ってことだと思うけどな。」

「それで言ったら、〈セカロイ〉もそうですけど、インディ・ロックのクラブ・イベントに来る人って既にハイコンテクストだから。」

そもそもその人たちも、日本の中でははぐれ者だっていう?

「そうそう。だから、そこに来る人とかやる人に対してそこまで違和感があるかっていうと、僕はなかったです。どういう形で表現するかとか、そういうのは違うなと思いますけど。」

例えば、みんなが活動を始めた数年後に、ceroとかミツメとかシャムキャッツとか王舟が出てくる。森は生きているやROTH BART BARON辺りも出てくる。その後に、それを追い越すようにして、never young beachとかyogee new wavesとかSuchmosが出てくるみたいな。いわゆるJ-POP、J-ROCKとは違うところで近い距離と感じられるバンド群でもあったと思うんですけど、その辺りとかも含めて、当時から今に至るまで、自分たちの居場所をどんな風に感じていたかを教えて下さい。

井上「僕らの同期って、OLDE WORLDEとPredawn、あとちょっと上ですけど、QUATTRO、The Cigavettesとかだと思うんですよ。一人の人は解散しようがないから続けていきますけど、仲がいいバンドは大概休止したり解散したりしてて。一緒にいたら面白かったんですけどね。だから、しんどい世代というか、傍から見ててもいいの作ってたのに、誰も評価されないままで(笑)。それに絶望したわけじゃないけど、やっぱりこっちも20代後半や30代とか多感な時期ですし。シャムキャッツ含め、下の世代とか、絡みもありますけど。だから、ざっくり言えば、谷間世代やったなって。もうちょっと繋がったらよかったかな、というのはあります。当時〈セカロイ〉にいたバンドもNEW HOUSE然り。HOTEL MEXICOはそんな感じで辞めたんじゃないにしろ。Homecomingsだと下の世代になるからちょっと違うけど。だから、軒並みおれへんようになりましたよね。(山本)幹宗とか、(岩本)岳士みたいに、一人でやってる奴はおれど。」

俺が見ていても、もっとも報われなくて、手の差し伸べようがなくて申し訳ないと、いまだに思っている世代です。

井上「ホンマそうですよ。気が付いたら『スヌーザー』も終わり、『サイン・マガジン』が始まったら東京インディのやつを取り上げているやろ?(笑)。だから、時代の波に乗れへんかったっていう。居心地悪いというか、何にもなかったね。良くも悪くも淡々と出来たのかもしれないですけど。」

「バンドで京都とかおれへんかったもんな、その世代で言うと。QUATTROもThe Cigavettesも東京やし。」

井上「そうですね、京都のバンドで同期はいなかったね。」

「僕、王舟くんやシャムキャッツより年下なんですよ。けど、東京の人っていう感じはあったからな。違うところでもうコミュニティがあった気がする。僕は今でも京都にいますけど、そういう感じで同じようなものが京都であったかと言ったら、別に〈セカンド・ロイヤル〉はバンドのコミュニティではないから。」

谷君はここ最近の京都のローカル・シーンは、以前と較べて変化は感じていますか?

「Homecomingsとかの世代の子らがバーッとなったくらいで、そのあとはあんまり知らないですね。ライヴを観に行ったりとか、イベントに遊びに行ったりはしますけど。みんな、どんどんトラックメイカーになっていってるし、自分が遊びに行くのもクラブ・イベントになっちゃうんで。シーンみたいなのは元々あったんかもわからへんけど。Homecomingsとか〈セカンド・ロイヤル〉のバンドは同世代のバンド同士で仲良かったりするし、そういうのは羨ましいなと思ってましたけどね。」

井上「それはイコール、居場所がなかったってことやろ。」

「まあ、そうかも(笑)。バンドマンの友達はいるんやけど、っていう感じやな。」

井上君は拠点を東京に移して、京都で暮らしていたときと、東京で暮らしているときって、ローカル・シーンの見え方って全然違うと思うんですけど、それぞれの違いはどう感じていますか?

井上「そんなめっちゃ行ってないですけど、東京は街がデカいので、ローカル・シーンが駅とか路線ごとっていう感じがします。変な話、みんな、ローカル・シーンだと思ってなさそうな気がしますね。外野はまるっと東京ってまとめるけど、「あの人と私は全然絡みがないし、違うけどな」って。それに比べて京都は街が小さいから、それよりジャンル分けって感じですね。パンク・シーンとか、クラブ・シーンとか。もっと大きく言えば、ライヴハウスとクラブとか。」

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『Taxi Driver』Music Video / Gotch