Dr.Downer × 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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INTERVIEW

(2010.08.20)

Dr.Downer × 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONとは、リハーサルスタジオが一緒だったこともあり、以前から繋がりがあったDr.Downerが、『only in dreams』より4曲入りマキシシングル「さよならティーンエイジ」をリリースした。ステージから飛び出さんばかりに勢いがあるライブを行ってきた彼らだが、今作では、その勢いを詰め込んだような音質と、センチメンタルな歌が組みあっており、彼ららしい、且つ昨今では珍しい、衝動のギターロックが轟いている。そこで今回は、Dr.Downerの中心人物である猪股ヨウスケ(g&vo)と、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文(vo&g)による対談を敢行。お互いの関係性から、後藤の今作への携わり方まで、たっぷり訊くことができた。
(text: 高橋美穂協力: STUDIO JUST)

――まず、お二人の馴れ初めは?

猪股ヨウスケ「同じスタジオで練習して」

後藤正文「ここ(取材が行われたスタジオ)でね(笑)」

後藤「潔とかと仲良かったんだよね」

猪股「そう、潔さんがキャラメルマンってバンドにいて、それと俺の前のバンド(Safety Second)で一緒にやったりしてて。その流れもありましたね」

後藤「でも、俺はあまり話したことなかったよね」

――じゃあ徐々に話すようになって?

猪股「そう(笑)」

――今回一緒にやることになった流れは?

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後藤「前に出した音源とかも、できたらもらってたんだけど、自分がライブで見た感じだと、もうちょっとよく録れるなって感じはあって。それで、"このスタジオで普通に今は録音できるんですよ、一発で録ったんで聴いてみて下さい"ってデモを渡されて、聴いたら、カッコよかったんだけど、やっぱもうちょっとよくなるなって思って(笑)」

猪股「(笑)」

後藤「ほんとにライブがいいバンドだから、ライブっぽい音源にするには何かが足りないみたいな。で、バラバラで録ったやつを、俺のスタジオに持ってきてって言って。それを聴いたら、やっぱり全然よくなるよって思って。基本的にはそういうのがキッカケかな。単純に、もらったデモがよかったんだよね、凄く。しっかり録れてるし、荒削りだけどエネルギーがあるし。ただ、クソみたいな歌がのってたけどね(笑)」

猪股「(苦笑)」

後藤「多分、録り方わかんないんだろうなって。歌をちゃんと録ればいい音源になるなって思いました」

猪股「それがこれです」

後藤「まぁ、俺は、彼らが本来持ってるものを、見えやすくしただけだから、役割的には」

――その時点では、『only in dreams』でリリースすることは決まってたんですか?

猪股「いや、決まってない」

後藤「どうする?　みたいな話になって。自主なら自主でいいんじゃない、でもやるならちゃんとパッケージを作った方がいいよって言ってて」

猪股「で、途中まで作ったらよさそうだったから、普通にプレスした方がいいなってなって」

後藤「じゃあ、俺、レーベルを最近立ち上げたから、スタッフに聞いてみるわみたいな感じで、音源を送って、気に入ったからやってみましょうかってなって。まぁ、でも立ち位置的には、ダウナー(Dr.Downer)はパンクバンドだと俺は思ってるので、俺たちはDIYのお手伝いというか。過剰に宣伝するわけでもなく、彼らの活動スタイルが崩れない程度にアシストしますよっていう。金も返してもらう予定ですからね(笑)。そんな大金じゃないけどね。録音がもう終わってたから、プレス代とマスタリング代だから」

猪股「とりあえず制作費を回収できればいいかなって(笑)」

――猪股くんは、これまでも新作ができるたびに渡してたんですか?

猪股「そうですね」

後藤「作ったら配り歩いてるから、猪股は(笑)」

猪股「俺、聴かせたがりなんですよ(笑)」

――それまでの作品を聴いて後藤さんが感じてたもどかしさは解消できました?

後藤「このスタジオでマイク7本で録った音がこうなったのはいいと思う。しかも録り方も、プロがマイク立ててるわけじゃないから、めちゃめちゃな録り音で(笑)。」

猪股「まぁ、知識がない中の奇跡的な録りというか」

後藤「そうそうそう」

――一発録りだからこそダウナーのよさが出たって言うのはありますよね。

後藤「俺もそう思います。一発録りが合ってるんじゃないかな」

猪股「これは、ドラムのマイクに、ギターの音もベースの音も全部入ってるのね(笑)。だから、ちゃんと調整ができないんですよ」

後藤「衝撃的だよね(笑)。被ってるのはいいんだけどさ、プロの一発録りの被り方って、どうにかなるようにできてるんだけど、これはどうにもならないっていう(笑)」

猪股「一応、各々のパートは調整できなくはないんですけど......(笑)」

後藤「ギター陣がね、ギターをよく録ることに命を掛けていて(笑)。ギターが鬼のように音がいいんですよね」

猪股「それ以外のものは興味がない(笑)」

――さっき話題に上がった歌は?

猪股「歌は、クソな替え歌みたいなのが入ってましたよ(笑)」

後藤「仮歌だったからだと思うんですけど、本人もあんまし上手く録れてないのがわかってるようなエフェクトの掛け方とかだったから、ちゃんと録らないと、ライブハウスでこのままデモとして売ってても、ちょっと逆にライブいいなって思われちゃうと思ったから」

猪股「俺は大変だったけど(苦笑)。俺、歌が下手なんですよ」

後藤「そんなことはないと思うんだけど」

猪股「フォローされた(笑)」

後藤「歌は上手だったよ。だって4回歌っただけだったもんね」

猪股「ありがとうございます(笑)」

後藤「でも、ピッチが外れてようがなんだろうが、魅力的だったらいいと思ってるから」

猪股「途中から俺はよくわかんなくなっちゃったけどね。何がいいのか、悪いのか」

後藤「でも、適当にやったところがよかったりするんですよ。変なアドリブっていうか、二度とそうは歌えないみたいなところが俺は好きだから。バンド自体が、もちろんクリックなんて聞いて録ってないし、何が揃ってるかとかじゃなくて、バンドとしてのグルーヴだったりとか、そん時のエネルギーとかさえ録れてればいいわけで、だからJ-POPや歌謡曲とは、全く考え方が別でいいと思うし、例えば猪股が韓流スターとかだったら(笑)......まぁ、まず俺と一緒にやっちゃいけないってところからはじまるんだけど(笑)、もっときっちりJ-POPの流儀で録るだろうけど。海外のバンドでも、デモみたいな音源のバンドって昔からいるけど、カッコいいんだよね」

猪股「ペイヴメントとかカッコいいもんね」

後藤「ペイヴメントの話もしたよね。レコード聴きながら。全然曲が違うよって言ってて(笑)。でも、言いたいことはわかるっていう」