INTERVIEW
――じゃあ、改めて、後藤さんが思うダウナーの魅力って?
後藤「とりあえず、ギターのバンドだと思うんだよね。猪股はケイタ(Dr.Downerのギタリスト)のギターを上げるなって凄く言うんだけど(笑)、それはギター2本がライバル関係にあるからで、猪股がベースの頃とか、大工(原幹夫=現Qomolangma Tomato)とSafety Secondでやってる時も、3人で張り合ってる感じだったから、そういうのはわかるんだけど」
猪股「でもケイタのギター、下げても、出てきちゃうんだよ(笑)」
後藤「そうだね。そこでどうやって猪股が歌うかって感じだから。やってみるとわかるけど、いいと思うもののボリュームが上がっていっちゃうんだよね。あとは、リズム隊がよく録れるかっていうのが、このバンドをもっとよく聴かせる場合には重要で。でも、正しいギターバンドって感じがする」
猪股「そんな感じがしますよ、俺も」
後藤「最近ギターヒーローっていないけど、ケイタにはそんな雰囲気を感じるから」
――ライブでもぐいぐい出てきますもんね。
猪股「あれはね、爆笑すればいいんですよ(笑)」
後藤「笑っちゃうってのはいいよね」
猪股「ロックって爆笑できるもんだと思うんだよね。カッコいいと笑いますよね」
後藤「笑っちゃう。ほんとに凄い人って笑っちゃうっていうのはある。ストーンズとか笑っちゃうでしょ。ミック・ジャガーとかキース・リチャーズとか。オアシスもリアム・ギャラガーとか。それは何なんだろうね。でも、佐野元春さんと話した時に言ってたんだけど、優秀なロックスターは優秀なコメディアンだって。だから、どっか可笑しい、笑っちゃうみたいなことを言ってたよ。ボブ・ディランとかも最近来日したけどさ、笑っちゃうところはいっぱいあったね。普通、オーディエンスとセンターで正対するじゃない? 普通。でもキーボードで横向いて座ってて、しかもステージの端っことか(笑)。誰なんだっていう(笑)。そういう面白さはありますね」
猪股「そういう意味では、(自分たちは)正しいロックバンドだと思います」
後藤「凄い人って、最終的には笑われるんですよ。凄過ぎて。感動を通り越して」
猪股「フー・ファイターズとか、笑うしかないもんね。俺、ビデオを見るだけで笑っちゃうよ。好き過ぎるから笑っちゃう。この感覚は、音楽好きな人は、みんなわかると思いますよ」
後藤「でも、わかんない人は怒ったりするんだろうけどね(笑)。本人じゃねぇんだから怒るなよって感じだよね(笑)」
――昔から猪股くんって、こういう強いキャラクターだったんですか?
後藤「前にやってたSafety Secondってバンドとかは、なんらかの方法で、有名性を獲得していくんだろうなって思ってました。でも解散したから、この後どうするんだろうって」
猪股「でも、解散しても、みんないろんなところで活躍してるから、いいじゃん」
後藤「そうだけど、なんか大丈夫かなって心配はしてたよ」
猪股「メンバーが誰一人仲良くなくて、常にケンカなの。スタジオでもライブでも。それはねぇ、2年しかもたないよね」
――やっぱり、横浜や横須賀のバンドって、繋がりも強いんですか?
猪股「いや、ここで練習してなかったら繋がってないね」
後藤「スタジオ繋がりだね」
猪股「バンドの拠点ってスタジオじゃないですか。どんなジャンルのバンドだけど、練習するところは一緒だから、いろんな人と繋がってますね」
後藤「あとは、潔が接点になってるところは大きいと思う。アジカンはこのへんで練習してたけど、パンクバンドじゃないから、かぼちゃ屋でしょっちゅうやるとかじゃなかったし。2回くらい出たことあるけど」
猪股「あと、うちのリズム隊が関学なの」
後藤「僕らの後輩で」
猪股「小石(Dr.Downerのドラム)」は潔さんと仲よくて、ドラムを教えてもらったりしてる。こないだ会ったら、『いのっちさ、小石のことそんな悪く言わないでくれよ』って言われて(笑)。『お前、バスドラが弱いんだよ!』ってある日のスタジオで言って。そこであいつは傷ついたらしく。でも自分も図星だってわかってたらしい。それをどうすればいいんですかって、潔さんに相談しに行ったって。だから関わりは結構あります」
――アジカンがこのスタジオを使わなくなっても、後藤さんは地元のバンドは気に掛けてたんですか?
後藤「でも、地元のバンドっていうか、猪股とかLINKは友達だからな」
猪股「個人的な付き合いですよね」
後藤「同じ時期にこのスタジオ使ったり、『踏台』ってイベント出てたりとか。LINKとかトリで凄かったよね」
猪股「超狭いところなんですけど、300人くらい集まって」
後藤「三笠公園でね。でも、横浜や横須賀って言っても、シーンはめちゃ広いと思うし、メロコアとかの方が盛んでしょ」
猪股「人と人との繋がりの方がデカいですね」
後藤「猪股たちには猪股たちの繋がりがあると思うし、アジカンはアジカンであるし」
猪股「横浜だからっていうよりは、たまたま横浜だったっていう」
後藤「ミュージシャンである以前に、酒を飲みに行ったりする友達でもあるから」
――横浜や横須賀って、バンドが盛んなイメージがありますけど、どういうところに特色があると思います?
猪股「都心に近いんですよ、横浜って。普通にライブしに行けるし、戻ってきたら地元だから、地方都市の特色と、東京のバンドの特色と、両方持ってるっていうか。地方の人って人間関係が大事じゃないですか。なお且つ東京にも出ていける環境があって、そういったバンドは盛んなのかもしれない。でも、どうなのかな?」
後藤「パンクは、僕らが大学の時から盛り上がってたよね。お客さんたくさんいて、凄いなと思ってたけど、俺らみたいなバンドがやるとこはないんだよね。CLUB 24があった時は出てたけど、よっぽど売れてる奴らじゃないと埋まらなかったし、俺たちが普通にブッキングとかで出てもガラガラだから。自分たちでイベントを打つしかなかったもんね。猪股みたいな音楽性だとFADとかかぼちゃ屋で、独自のパンクコミュニティがあって。でも、当時はハードコアパンクとかだもんね」
猪股「ちょっと重いやつだね。ミクスチャー、山嵐とか」
後藤「俺たちはやる場所はなかったから、下北や渋谷に出てったんだけど」
猪股「俺たちはパンクバンドだったからさ。でも練習してる場所は一緒でしたね」
後藤「最近なら、FADやかぼちゃ屋でも、出ずらさはない気がする。チョモ(QomolongmaTomato)とかもさ、パンクっていうよりはオルタナだし」
猪股「確かに」
後藤「そういうバンドも増えてるし。相変わらず、根っこがパンクな人はいっぱいいると思うんだけど、音楽性は増えてきてるから。それは時代なのかもしれないね」
猪股「時代だね、きっと。たまにかぼちゃ屋のブッキングに遊びに行ったりするんだけど、面白いバンドいたりするし」
後藤「そもそも日本語パンクが昔はいなかったよね。ハードコアならいたけど」
猪股「うん、完全にメロコア。キャプヘジ(CAPTAIN HEDGE HOG)、REACH、SHORT CIRCUIT。うちの小石くんが、そのへんが超好きで」
後藤「いっぱい見たね。LINKとかも最初そのへんだったよね」
猪股「でも俺は、そこらへんが盛り上がってた時は、横須賀でライブをやってなかったような。前のバンドの時は、その盛り上がりが嫌で(笑)、東京でやってました。三茶や20000Vとかだけどね」
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