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8otto アルバム『Dawn On』オフィシャルインタビュー

プロデューサー後藤正文との共同作業から得られたもの

実際のレコーディングはいつごろから始めたんですか。

マエノソノ「去年の夏にリズムを合宿で録って、2月3月ぐらいからヴォーカルを入れて」

集中してやらなかったのは時間がなかったから?

マエノソノ「そうです」

今回プロデュースは後藤正文さんです。それまではずっとヨシオカトシカズさんがプロデュースを担当されていて、今回始めて後藤さんを起用されたんですね。

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マエノソノ「タイミング、ですね。それまでずっと8ottoどう? って気にかけてくれてて。僕らもどうしようかと思ってて。曲数はすごい揃ってるけどどのタイミングでレコーディングしようかとか、どんな風に録ろうかとか。今の僕らのやり方やったら、ドラム録るだけでもお金かかるし。最初は打ち込みでやろうかとも話してたんですけど、ゴッチが『すごくいい曲が揃ってるし、ドラムは一番いい音で録りたい』って言ってくれて。そこから、『マエノソノはいつやったら5日間スケジュール開けれんねん』いう話になって(笑)。半年後の夏休みに合宿で録ろう、と。で家族で行かしてもらったんです」

なるほど。じゃあ後藤さんに頼みたいという気持ちは前からあったんですね。

TORA「一緒にできたら面白いなとは思ってました」

楽曲が揃った段階でアルバムの方向性とか見えてたんですか。

マエノソノ「たぶん見えてなかったですね」

後藤さんからは何かアドバイスはあったんですか。

TORA「うーん……好きなことやりなって感じでしたけど(笑)。前だったら、前作がこんな感じだったからこういうテーマで、というのがあったんですけど、今回6年空いてますからね。前のことは気にせず、その時にいいと思う曲をまとめて『これが今の8ottoです』みたいな感じでやればいいかなと思ってました」

きっとそれが正解ですね。最近の自分たちの好きなものや感性みたいなものがフラットに反映できれば。

TORA「うん、僕はそうでした」

マエノソノ「アレンジで、これはOKだけどこれはダメ、みたいなものが全然なかったんですよ。どんな音楽でも気持ち良かったらいいかっていう」

TORA「そこに関しては自由にやりたいことをやれたかなと思います」

そうは言っても「8ottoらしさ」は失いたくないですよね。「これをやったら8ottoじゃなくなる」「最低でもこれは守りたい」みたいなものはなかったんですか。

マエノソノ「あのね、レコーディングの合間にライヴでカヴァーをやったんですよ。メタリカとかニルヴァーナとかU2とかレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとか(笑)。節操なくやったんですけど、でも僕らが演奏して僕が歌ったら、だいたい8ottoになるんですよね」

TORA「マエノソノがドラムだけやってヴォーカルを誰か全然違う人が歌ってもいいぐらいに、このメンバーで自由にできたらいいなと思ってたので。そういう意味では全然制約はなかったですね」

お客さんが期待するものもあると思うんですが、そこらへんは考えました?

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TORA「うーん……考えてないこともないですけど、むしろ期待を裏切った方が面白がってくれるんじゃないかなっていう(笑)」

なるほど。実際に本作の曲はもうライヴでやってるんですか?

TORA「数曲はやってます。ライヴ用のアレンジに変えてたりしますけど、楽しんでくれてると思います」

30曲用意したという話ですが、そこからどうやって絞っていったんですか。

TORA「ある程度形になっている曲のデモを、まずは全部ゴッチに投げたという感じですね。長いこと曲を作ってきて、もはや客観的に見るのが難しくなっていたんです。なのでまずはゴッチに投げてみて」

マエノソノ「20曲ぐらいやな」

TORA「そうしたらゴッチから選曲が返ってきて。これでいこうか!みたいな(笑)。投げた時点で残ってる曲はどれが入っても僕らは納得するし。そこも踏まえてもらってジャッジしてもらった感じですかね」

レコーディングの時に言われたこととか、アドバイスされたこととか。

マエノソノ「ヴォーカルに関してはよく言われましたね。自信をくれたというか。君がいいと思うものをそのまんま歌えばかっこいいから、自信もってどんどん歌ってくれ、みたいな。どうしてもこれアカンやろ、と思った時は言って直してもらうから、それ以外はオールOKやから自信持って歌って、とか。あとは……ゴッチはリズム感がいいから、タイミングとかすごく勉強になりました。今までは自分に自信があったので横から言われても『わかってます』って思ってたんですけど、ゴッチはもうちょっと別のところを聞いてて。僕は全体的にルーズだったんですけど、たとえば『サビはオンで入った方が気持ちいい』とか。きっちりすべきところはきっちりする、オンのところはきっちりオンで入る、そうすればピッチがずれてようがメロディが違ってようが気持ちよく聞けるんだ、と。そういうところはすごく勉強になりましたね」

どうやって伝えればいいか、という技術や心得の問題。

マエノソノ「そうですね、ポップ・ミュージックの極意というか。教えられましたね」

「自信もって歌え」と言われたのは、自信なさげなところが歌に出てたってことですか?

マエノソノ「うん、なんか出てたみたいですね。『今自信ないでしょ?』とか当てられてたんで(笑)」

TORA「ははははは!」

図星だったんですか?

マエノソノ「『これ昨日考えたでしょ?』とか言われて(笑)」

TORA「あははははは!」

マエノソノ「『確かに……』って(笑)。『が』と『で』と『を』で迷ってるでしょ、とか、そういう感じでズバーッと言われたんで」

そういうの、わかるもんなんですね。

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マエノソノ「ね。すごいですよね。で、話し合ってるうちに明確になってきて。インタビューと同じですね。じゃあそれで行こうか、みたいな」

なるほど。

TORA「今その話聞いてて思ったんですけど、確かに僕も自信もってやれってたびたび言われましたね(笑)」

マエノソノ「たぶん、突っ張ろうとしてる部分と、大丈夫かオレら、みたいな時があって」

自信持ったりなくしたり揺れ動く感じは、アーティストの人はありますよね。

TORA「うん。ちょっと悩んでるところで『この方がいいよ』ってズバッと言ってくれるだけで、気が楽になるというか。自分が悩んでて答えがなかなか見つからなかった時、その答えをずばりと言ってくれて、自信が出てくる、みたいなことは多かった気がします」

テクニカルなアドバイスもあるけど、そうして精神面をいい状態にしてくれたことも大きい。

TORA「そうですね。時間がかかるとモチベーションもだんだん薄れていったりするじゃないですか。その中でスケジュールもうまく合わせてやってくれたので。そういうところも有難かったです」