アイウェア・デザイナー
アメリカの某アイウェアブランドのデザインに15年携わった後、現在は新たなブランドのデザイナーとして活動。
またファッションブランドやミュージシャンのオリジナルサングラスなど、国内外問わず多数を手掛ける。
2025年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

David Byrne / Who Is The Sky?
David Byrneは、もうTALKING HEADSとして活動することはないのかもしれない―。
New Yorkで幸運にもこのニューアルバムのライブを観ながら、ふとそんな思いがよぎりました。
基本的なスタイルは、以前同じくNYで観た“American Utopia”と同様、多くのメンバーがスタンディングで演奏する形式。しかし、そのパフォーマンスはさらに研ぎ澄まされ、驚くほど素晴らしかった。ステージを縦横無尽に駆け巡り、踊り続けるDavid Byrneの姿には、かつての面影とはまた違う、新しい表現者としてのエネルギーが溢れていました。
このアルバムは、そんな彼の“現在”と“未来”の志向が最もよく表れた作品なのだと感じます。ぜひ日本にもツアーで来てほしいと思います。
quickly, quickly / I Heard That Noise
オープニングの「I Heard That Noise」でいきなりノックアウトされるアルバム。
NOISEや電子音が時折顔を出しながらも、その核には美しいメロディのフォーキーミュージックがしっかりと息づいている。相反するように見える要素が見事に溶け合い、なんとも言えないオリジナルな音楽世界をつくり上げています。気づけば何度も繰り返して聴いてしまう、そんな魅力を持った一枚です。
Foxwarren / 2
Andy Shaufはソロ作が好きでずっと聴き続けていますが、FOXWARRENはそんな彼が率いるバンド・プロジェクト。1stは味わい深いフォーク・ミュージックでしたが、2ndではそのスタイルにサンプリング音と音声を大胆にMIX。しかもそのサンプリング元が“古い映画”というのがまた心憎いところ。驚くほど彼らの音と親和性が高く、アルバム全体を通して聴くと、まるで1枚のサウンドトラックを鑑賞しているような没入感があります。
Moreish Idols / All In The Game
先にリリースされたシングルが気に入っていただけに、彼らのデビューアルバムには大いに期待していた。以前のポストパンク的なイメージとは異なり、今作はよりサイケデリックな印象が強い。
時折響くサックスの音色もパンクというよりカンタベリー・ロックを思わせ、これはこれで心地よい。
曲ごとに多彩な表情を見せてくれるバンドなので、今後どのように進化していくのか楽しみ
Sports Team / Boys These Days
確か1stをベスト10に挙げたことがあるSports Teamの3rd。
2ndはあまりぱっとしなかったものの、今作では大胆に方向転換。SAXとシンセを取り入れ、80’sポップへと舵を切っています。それがまた安っぽさとは無縁で、むしろ癖になるほど心地よい仕上がり。
根本的に“曲が良い”うえ、説得力のあるボーカルが全体をしっかりとまとめ上げていて、バンドとしての新しい魅力が存分に発揮されています。
Courting / Lust for Life, Or: ‘How To Thread The Needle And Come Out The Other Side To Tell The Story’
1曲目の弦楽器のイントロにまず驚かされる一枚。
「これは彼らも大胆に方向転換か?」と思いきや、アルバム全体を通して弦楽器を散りばめつつも、ギターサウンド全開の持ち味はしっかり健在。各曲の展開にも工夫が凝らされていて、気づけば8曲・25分があっという間に過ぎてしまいます。
bar italia / Some Like It Hot
短期間でリリースされたbar itariaの5thアルバムも、驚くほどクオリティが高い一枚。
前作・前々作と比べるとアレンジがすっきりしたぶん、あの混沌とした雰囲気はやや控えめになったものの、その結果として“ギターバンドとしての輪郭”がより明確に浮かび上がっている。
イギリスのバンドというより、どこかTelevisionのようなニューヨークのバンドを思わせる。
The Tubs / Cotton Crown
Tubsも、確か前作をBEST10に選んだお気に入りのバンド。
前作にあったThe Smithsぽさに加えて今作ではTeenage FanclubやThe Saintsのような雰囲気も漂っていて、まさに自分の“好き”が全部詰まったタイプの作品になっている。
De La Soul / Cabin In The Sky
久しぶりのDe La Soulのニューアルバムは、これぞデラ!と言いたくなる仕上がりで、思わず何度もリピートして聴いています。90’sのDe La Soulらしさはしっかり残しつつ、トラックは現代的にアップデートされていて、近年の打ち込み中心でシリアス寄りのHIP HOPに少し飽きていた自分にとって、これは嬉しい復活でした。客演も豪華で、当時のHIP HOPに夢中だったファンには堪らない内容。1曲目のナレーションからもうワクワクします。
岡田拓郎 /
年末にひっそりとリリースされていて、危うく見逃すところだった一枚。
岡田さんの1STソロアルバムは以前ベスト10にも選んだほど好きですが、今回はなんとJAZZ。
しかもスピリチュアル・ジャズやアフロの要素を感じさせつつ、エレクトロも巧みに融合しています。
自分が大好きなGary BartzやPharoah Sandersを思わせる瞬間があり、これが現代の日本人の作品とは思えないほど時代を超えた素晴らしさ。改めてこの人は本当に凄い人だと再認識しました。

アイウェア・デザイナー
アメリカの某アイウェアブランドのデザインに15年携わった後、現在は新たなブランドのデザイナーとして活動。
またファッションブランドやミュージシャンのオリジナルサングラスなど、国内外問わず多数を手掛ける。