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INTERVIEW

2023年 ベストアルバム

2023年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

(2024.2.19)

The Best Albums of 2023

伊藤 英嗣
(音楽評論家‏/翻訳家)

2023年も多くの素晴らしいアルバムがリリースされた。いわゆる洋楽のなかから、順位はつけずに10枚を。

最初の3枚は、それぞれリヴァプール、マンチェスター、ロンドンを代表するバンドたちの、見事な新作。

ザ・ジャスミン・ミンクスは、'80年代前半からスコットランドで活動してきたバンドだが、このニュー・アルバム、驚くほど素晴らしかった。彼らと同じくクリエイション・レコーズから作品を出していた Teenage Fanclub や Slowdive の新作も良かったが、ぼくとしてはそれらよりもこれを推したい。

イアン・M・ベイリーのアルバムは、ほとんどすべての曲が Cosmic Rough Riders のダニエル・ワイリーとの共作で、オルタナティヴ・タイムレス・ポップの白眉。なお、Cosmic Rough Riders はクリエイションのアラン・マッギーが'00年代にはじめたポップトーンズ・レーベルを支えたバンドだった。アラン・マッギーが現在マネジメントを手がけている The View、そしてザ・ジャスミン・ミンクスと同じころクリエイションからレコードを出していた Felt の中心人物ローレンスによる Mozart Estate の新作も、グレイトだった。

もと The Cure のロル(ローレンス)と、The Slits や Siouxsie & The Banshees などで活躍したバッジーが、ジャック・ナイフ・リーと組んだ『ロス・アンゼルス』は、Primal Scream のボビーおよび LCD Soundsystem のジェイムズがヴォーカルで参加。これらのバンドのファンであれば、是非聴いてみてほしい。

オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク(OMD)、デペッシュ・モード、そしてジ・オーブらのエレクトロニック・サウンドにも、心を打たれた。世代もしくは人脈的につながっていて、これらと同じくらい最高だったのは、A Certain Ratio、The Raincoats の Gina Birch、Everything But The Girl。そしてHifi Sean & David McAlmontや、これはもろソウルで音楽的傾向はちょっと違うけれど、The Big Dish のメンバーだったブライアン・マクフィーがギターで参加した Greig Taylor Band も大好き。

'60年代、'70年代アヴァンギャルドと現在をつなぐ、もと The Velvet Underground の John Cale の新作、Quiet Sun や This Heat で活躍したチャールズ・ヘイワードの Abstract Concrete も素晴らしかったが、とりあえず10枚に絞りたかったので、ザ・フィーリーズのこれを。The Velvet Underground の名曲18曲をカヴァーしたライヴの記録。企画版といえばそれまでかもしれないが、ぼくはおおいに愛聴している。

伊藤英嗣
(音楽評論家‏/翻訳家)
伊藤英嗣
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クッキーシーン編集長。

2024年の目標は、新たな書籍を完成させることとウェブ・マガジン・クッキーシーンの復活です。

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