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(2010.10.22)
Ra RA Riot インタビュー Vol.1

――本作を作るにあたり、何かバンド内でテーマ、青写真みたいなものを掲げて制作したのでしょうか?

ウェスリー「いや、テーマみたいなものを最初から掲げて作った訳じゃないんだ。でも、全体を通して聴くと、不思議な統一感があるというか。どの曲にも繋がりがある構成になっている気がしたよね」

――なぜタイトルを『ジ・オーチャード』に?

ウェスリー「今回の楽曲は、すべてニューヨーク北部にあるペン・ヤンという町のモモの果樹園にて制作されたものだからというのもあるんだけど、他にもこのタイトル・トラックを筆頭にどの収録曲も、ある特定の場所から、ある風景を思い出すみたいなものが多いんだよね」

――昨今のNY出身のバンドというと、ヴァンパイア・ウィークエンドやMGMTに代表されるような独特の陶酔感や狂騒感があるポップなサウンドというイメージが強いけど、今回のアルバムはそういったサウンドとは一線を画したオーガニックで優美な内容に仕上がっているよね。

ウェスリー「ボクらは確かにNY出身バンドであることは確かなんだけど、どちらかと言うとニュージャージーにいることが多いから、彼らとはちょっとタイプが違うんだよ(笑)」

レベッカ「私達は都会の喧噪からより、自然の鼓動のなかからインスピレーションを受けることがほとんどなの。また、NYのスタジオって狭いし、そのわりにお金がかかる(笑)。外に出ても、プラスティックな風景がたた並んでいるだけ。そんな窮屈な環境で音楽を作るよりも、自然の開放感を思う存分堪能できる場所でレコーディングしたほうが、私達の性に合うのね」

――では歌詞に関しても、そういう自然からインスピレーションを受けたものが多い?

ウェスリー「うん、そうだね。例えば3曲目の『トゥ・ドラマティック』は、都会のノイズにうんざりして、田舎にエスケイプする曲だし。また6曲目のチェロのアレクサンドラ・ローンとデュエットした『ユー・アンド・アイ・ノウ』では、駅のホームの喧噪をサンプリングして、都会からの逃避みたいなムードを表現したつもりだし。と言って、これらはすべてのしがらみを捨てて現実逃避するのではなく、ただ静かな場所に行って心を落ち着かせたいという気持ちがこもったものだよ。でもアルバムの最後では、自分が果実園にいるのか?また現実にいるのか?訳がわからなくなる錯乱状態になってしまうんだけどね!(笑)」

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――「ユー・アンド・アイ・ノウ」もしかり、また5曲目「マサチューセッツ」もそうだけど、これらはバンド・メンバーと共作ということになっているよね。基本はウェスリーがソングライティングしているみたいだけど。

ウェスリー「うん、ボクが歌詞を作っている関係で、自然にソングライティングにクレジットされているんだけど、厳密に言ったらメロディに関してはメンバー全員のアイデアが反映されているんだよ。ただ『マサチューセッツ』に関しては、ベースのマシュー・サントスが作ってきた歌詞を元に完成させたもので、かつ彼はマサチューセッツ出身だったから、そうしただけ」

レベッカ「『ユー・アンド・アイ・ノウ』に関しても同じことが言えるわ。アレクサンドラが持ち込んだ曲が元になっているから、ソングライターにクレジットされているのよ」

――また、本作にはヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリが参加している楽曲「ドゥ・ユー・リメンバー」も収録されています。心が弾むポップ・チューンに仕上がっていますね。

ウェスリー「ロスタムとボクは、ディスカバリーというユニットを結成していて、この曲は当初そこで発表するつもりでいたんだ。でもタイミングがあわず未完成のままで、それをロスタムが『自分のバンドでやればいいじゃない?』と提案され、メンバーに聴かせたところいい反応をしてくれたから、今回収録したんだ。ロスタムはミックスで参加してくれているよ。すごく満足のいく仕上がりになったと思う」

――この曲を含め、収録曲すべてが瑞々しくかつ甘美な果実を頬張った瞬間に通じる、贅沢な喜びを噛み締められる楽曲になっていると思いました。

レベッカ「ありがとう!」

――ところで、気になったのがアルバムには「KANSAI」という陶酔感のある楽曲が収録されているけど、これは日本の関西地方からインスパイアされたもの?

ウェスリー「(笑)。ボクは以前に日本へ留学していたことがあるんだ。その当時のことをNYで思い出しながら、作った部分はあるね。でも、関西での思い出が、この曲のすべてではないんだ。この曲で伝えていることは、ある場所(それは今自分が暮らす環境と言えるかもしれない)から、ある特定の風景を思い出し、今そこはどんなことになっているのかな?と想像を膨らませる、ということなんだよ」

――では、このアルバムを通じてリスナーに感じてほしいことはある?

レベッカ「基本的にリスナーそれぞれが好きなスタイルで、アルバムを楽しんでくれたら、それでいいの。これをきっかけにバイオリンなどのストリングスに興味を持ってもらったり、バンドをやることの楽しさを感じてもらえる人がいてくれたら、いいなとは思うけど」

ウェスリー「ボクも一緒。特に付け加えることはないよ(笑)。アルバムを楽しんでほしいって感じかな」

INFORMATION

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