oid_logo

icon_mailmagazine
HOME » INTERVIEW » 金澤ダイスケ(フジファブリック)×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

icon INTERVIEW

(2010.09.24)
金澤ダイスケ(フジファブリック)×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

キッド A
キッド A

レディオヘッド

――そして、これを聴いて音楽に対する考えが変わったという作品ですが。

金澤「これまたベタですが、レディオヘッドの『キッドA』です」

後藤「出た! 僕はこれを聴いて呪われてたわ。2000年代呪いの1枚だよ(笑)」

――『キッドA』を聴いて、考えがどう変わっていったんでしょう?

金澤「今回は、キーボーディストから見たアルバムっていうテーマをひとつ持って選んできたんですよ。僕、レディオヘッドで言うとジョニー・グリーンウッドが弾くキーボードがもの凄く好きで、レディオヘッドは今一番好きなバンドでもあるわけなんですよ。キーボード・ソロでもギター・ソロでもバーンって弾くスタイルってあるじゃないですか、僕ああいうのが元々あんまり好きじゃなくて、そこだけ自我が出てしまうような気がして。周りにもそういうソロが好きな人がいっぱいいたり、そういう音楽がたくさんある中で、これを聴いた時にこれでいいんだって思ったんです」

――自分の考えやスタイルに自信が持てたというか、肯定できたというか。

金澤「これで良かったと思えた1枚で、ここでひとつ落ち着けたなって」

――後藤さんは、『キッドA』に呪われたということですが・・・・・・。

後藤「これは発売された当時に聴いていて、ちょうど働き始めていたころで、何度も通勤途中に聴いていて、途中で家に帰りました。武蔵小杉の駅で会社に電話をして「体調が悪いんで帰ります」って(笑)。2、3回やったと思う(笑)」

金澤「呪いの1枚だね(笑)」

後藤「鬱屈としている1枚だよね。先行きの悪そうな2000年代を見透かしたような作品で、発売された翌年に911が起きてるから。また、少年Aっていうのもキーワードで、日本でも少年法の問題があったり、変なリンクの仕方をしてるよね。これは衝撃的だったね」

――音楽シーンにも多大なる影響がありましたよね。

後藤「これで日本のミュージシャンとかもプロトゥールスとかを取り入れ始めたり」

金澤「これを聴いて、ミュージシャンは考え方が変わった人多いと思いますね」

後藤「『OKコンピューター』でコンピューターとの在り方みたいなものが出始めていて、『キッドA』が決定打的な音だったよね」

The Melody At Night, With You
The Melody At Night,
With You

キース・ジャレット

――そして、一番聴いた1枚はキース・ジャレットの『The Meldy At Night With You』。

後藤「どんなミュージシャンなの?」

金澤「例えばマイルス・デイヴィスとかとも一緒にやっていたり、ソロでも作品を出していたり。当時は、ジャズ・ミュージシャンひとりひとりがビッグ・ネームで、そういう人たちが一緒にやってたりしてね。その中のひとりのピアニスト」

後藤「どこかで耳にしているのかもしれないね」

金澤「そうだね。この人、一回病気にかかっちゃって、慢性疲労症候群みたいな。その後、休み明けの一作目がこの作品なんだけど、ピアノだけでスタンダード・ナンバーをただただ演奏してるだけなんだけど。ピアノっていいなって思うアルバムで。僕、顎が痛くて軽く手術をしたことがあって、その時に医者に手術中に音楽かける?って言われたんだけど、その時選んだのがこの1枚なんです」

後藤「手術中にキース・ジャレットっていいね、そういうこと言いたいよね(笑)。僕は、盲腸の手術したことがあったんだけど、その時の思い出は『キン肉マン16巻』(笑)。親が、何か読みたいものあるかって聞くから、『キン肉マン』って(笑)」

――手術中に音楽をかけられるんですね。

金澤「そうなんです。最初、フジファブリックをかけましょうか?って言われたんだけど、それは止めてくれって言って(笑)。このアルバムは、ゴッチへのオススメの作品でもありますね」

後藤「ジャズ・ピアニストの作品とかって、あんまり持ってないもんね」

金澤「精神的に落ち着く1枚でもありますね」

シュープリーム・バルーン
Supreme Balloom

マトモス

――そして、後藤さんにオススメしたい1枚をマトモスの『Supreme Balloom』。サンフランシスコの男性ふたり組で、ビョークの作品にも参加してますね。

金澤「そう、ビョークのアルバムにも参加してるんですけど、それはさておき、何をオススメするかっていうと、このアルバムは全ライン録りなんですよ」

後藤「へぇ~!」

金澤「バンドをやってると空気の音とか大切なんですけど、このアルバムはその空気の音が入っていないんです」

――ライン録りを説明すると?

後藤「マイクを立てないで録るってことです」

――マイクで録るのとライン録りは、どう音が変わってくるのでしょうか?

金澤「ライン録りの方が、音が近い」

後藤「アジカンの『さよならロストジェネレイション』のレコーディングは、バッキングのギターがライン録りだよ。要は、部屋なりの音が全く入らないってことだね」

photo

――ラインで全て録るってことは、あまりしないんですね。

後藤「やらないね」

金澤「バンドの人はあんまりやらないですね。最近僕は、ロックというよりもエレクトロな感じの作品をよく聴いていて、それを持ってくれば良かったんですが、僕の歴史ということだったので。ジャスティスとかロイクソップとかシミアン・モバイル・ディスコなんかを聴いていますね」

後藤「ロック寄りのダンス・ミュージックだね」

INFORMATION

MUSIC
MUSIC
icon_album

2010.7.28 ON SALE!! / AICL-2424 / ¥2,424(税込) / Sony Music Associated Records Inc.

amazon

akg_jacket
マジックディスク
icon_album

2010.6.23 ON SALE!! / KSCL-1610~KSCL-1611 / ¥3,570(税込) / Ki/oon Records

amazon