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(2010.09.24)
金澤ダイスケ(フジファブリック)×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

――キーボーディストって、ギタリストに比べると数が少ないですよね。

金澤「そうですね。僕も最初はギタリストになりたかったんですよ。そういう人って多いと思いますよ」

後藤「へぇ~、不思議」

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金澤「キーボードを弾く人の半分は、元々ピアノを習っていた人だと思うんですよ。僕もそのひとりで。妹と僕は歳が離れていて、妹が3歳になるころにピアノ教室に通うっていうことになって、僕も便乗してみようかなと。弟も一緒で兄弟でピアノ教室に通ったんですけど、結果一番練習したのが僕で、妹は全然身にならず。でも、僕がピアノ教室通っていたのは小学校中学年くらいなんです。で、中学生になって文化祭とかでバンド発表会みたいなものがあって、その機会にギターをやりたいなって思って。親にギターをせがんだんだけど買ってもらえず、友達で先にギターをやっている友達がいて、その友達に"お前はピアノ弾けるから、キーボードだ!"ってなって。だけど、僕はギターが弾きたかったから悔しいなって思っていて、ちょうどそのころテレビですかんちを見たんですよ。それで、すかんちでロックにキーボードを弾く小川文明という人がいまして、彼のプレイを見たらこれだったらギターに勝てるかもしれないという対抗意識を燃やしてしまって」

――そこでキーボードを弾くきっかけになったというアルバムが?

金澤「すかんちの『GOLD』というアルバムだったんです」

――この作品は、1994年発表ですね。

金澤「僕が14歳の時、中学2年ですね。まずは、この人(小川文明)を目指せば最初のステップとしては間違いないと思って。で、大学の時にこの小川文明の弟子入りというか子分みたいな形になりました」

――小川文明さんのコンサートを観に行って、接触されたんですか?

金澤「ピアノのソロ・コンサートをやっていることがあったので観に行って。仲良くなってっていうのも可笑しな話ですけど、仲良くなったら手伝いに来てくれってことになったんですね」

――中学の文化祭をきっかけに、キーボードを弾くようになったんですね。

金澤「そうですね。それまで僕は、F1レーサーになりたかったんです。家の隣が車屋さんで家の近くにサーキットがあったんですけど、その車屋さんの友達がそこに連れて行ってくれたんです」

後藤「当時空前のF1ブームだったからね」

金澤「そうです! そこです」

後藤「アイルトン・セナとか中嶋悟とか、そういう時代だね。みんな、ベネトンのポロシャツ買いに行ったよね。俺もすごい派手な黄緑色のポロシャツ買ったよ(笑)」

金澤「僕もベネトンのポシェット持ってました(笑)」

――(笑)。そんなF1レーサーになりたい夢を捨て、これからは鍵盤だ!と。

金澤「そうですね。当時、親もそんなに音楽を聴かないし洋楽とかほとんど知らなかったんですよ。田舎だったし情報がないので、すかんちのファンクラブに入るんですよ。そうすると会報が送られてきて、その中にオススメCDが載ってるわけですよ。そんなにオススメしてくれるなら聴いてみようと思って、買ってみたのがピンク・フロイドの『The Dark Side Of The Moon』です」

狂気
狂気

ピンク・フロイド

――1973年発表、日本語タイトル『狂気』ですね。10代の時によく聴いていた1枚ということで、挙げていただきました。

後藤「これを中学生で、すごい!! 完全に英才教育だ(笑)。すかんちも、まさかここに中学生を呼び込むとは」

金澤「これは中学生の時のヘビーローテーションですね。これとか、レッド・ツェッペリンとかプログレ関係、イエスとか」

後藤「キング・クリムゾンとか?」

金澤「聴いてましたね」

――ここに金澤さんのプレイスタイルのルーツを感じますね。プログレッシブな要素は、中学生時代から芽生えていたと。

金澤「そうですね。70年代から80年代の音楽を、そのすかんちの会報でオススメしていたから聴いていたんですけど、逆に"なう"な音楽は僕10代のころ知らなかったんです」

――その時代にヒットしている音楽や話題の音楽の情報は、あまり入ってこなかった?

金澤「少しは情報は入ってくるんですが、全てすかんち絡みでないと引っかからなかったんです。ある種、信者でしたから(笑)」

――後藤さんは、中学生や高校生の時に好きなアーティストがオススメするCDを聴いたりはしていましたか?

後藤「久保田利伸がススメていたソウルⅡソウルとか聴いてたよ。久保田利伸は、歌が上手いなって思って実は好きだったんだよ(笑)」

マネージャー 「初めて聞きました(笑)」

――今明かされる後藤さんの意外な事実ですね(笑)。金澤さんのその後の音楽体験は?

ホモジェニック
ホモジェニック

ビョーク

金澤「そのころに、隣の車屋さんの同級生とよく一緒にテスト勉強をしていて、音楽をかけながらしてたんですけど、珍しく当時"なう"なアーティストのCDを聴いたんです。それがビョークの『ホモジェニック』です」

――『ホモジェニック』は、1997年の作品ですね。金澤さんは10代のころに聴けなかった1枚ということで挙げていただきましたが。

金澤「僕が17歳の時です。高校のテスト勉強中に聴いたんですけど、それまで僕は古い音楽しか聴いていなかったので、当時の今の音楽を聴いたのはビョークが初めてに近くて、17歳の金澤少年にはビョークのパワーが強すぎて、今聴けねぇって思ったんです」

――パワーが強すぎるっていうのは、受け止められなかったっていうことですか?

金澤「そうです、あまりにも凄すぎて受け止められなくて。今感じているこの衝撃は、もう少し大人になってからじゃなきゃ聴けないんじゃないかと思って、20代になってから聴くようになったんです」

後藤「すごく良くても、聴くと疲れるっていう作品はあるよね」

金澤「そうそう、疲れるんですよね」

後藤「自分の中で安らげないっていう音楽はあるよ」

金澤「ましてや、ビョークはテスト勉強には向いてない音楽でしたね」

後藤「17歳の少年には、キャパシティオーバーだったんだ」

金澤「無理だって思ったんですよ。嫌いとか好きとかじゃなくて、その当時は理解できなくて、理解できるようになる歳にまた聴こうと思ったんですね。今聴いたら作り手としてのアイデアがたくさんありますね」

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