only in dreams

INTERVIEW

2021年 ベストアルバム

2021年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

(2022.1.14)

The Best Albums of 2021

伊藤 英嗣
(音楽評論家‏‏/翻訳家)

Bobby Gillespie and Jehnny Beth:プライマル・スクリームとサヴェージズのリード・シンガーによるデュオ・アルバム。2021年なかばにリリースされたものだが、その年の、そして今もつづく時代の空気感を最も的確に体現している。

Lola in Slacks:'10年代なかばから活動をつづけてきたスコットランドのバンドによる、2021年のトップ・デビュー・アルバム。もとザ・ビッグ・ディッシュのメンバーが、その才能をついに開花させた。

Daniel Wylie's Cosmic Rough Riders:'00年代に全英を席巻したコズミック・ラフ・ライダーズ。ダニエルの曲作りも、大胆なアレンジメントも超一級品。これも、上記ローラ・イン・スラックスのアルバムもリリースしたラスト・ナイト・イン・グラスゴーは、今最も注目すべきインディー・レーベルだ。

THE CORAL:’60年代にはザ・ビートルズ、’80年代にはエコー&ザ・バニーメンがリヴァプールを代表するバンドだった。そして現在は彼ら! 前々作のヘヴィーな実験性も、前作のつきぬけたポップ性も併せもった、'10年代以降の最高傑作。

MOGWAI:'90年代のデビュー以降、常に「最新作が最高傑作」と感じさせててくれる貴重なバンドのひとつ。轟音インストゥルメンタル曲を基本とするマニアライクな存在だが、本作で初の全英トップを獲得。彼ら自身も驚いていた。

LOW:今回選んだなかで、唯一のアメリカン・バンド。'90年代から'00年代にかけては、ゆるやかなギター・アンサンブルが特徴だったが、最近はむしろ音の実験が前面に出ている。その強烈さは、2021年ナンバー・ワン。

THE GO! TEAM:これぞインディー・ポップ! 2020年に先行シングル・リリース済だった2曲目のタイトルは〝Cookie Scene〟。クッキーシーンは10年以上前の定期刊行紙媒体時代、彼女らを表紙にフィーチャーしたこともある。これは時空を超えたエール交換、みたいな(笑)?

Dave Gahan & Soulsavers:デペッシュ・モードのオリジナル・メンバーであり、結成以来そのリード・シンガーを務めてきたデイヴが、ここ数作のソロ・アルバムで組んできたソウルセイヴァーズを今回もフィーチャーした、カヴァー集。名曲だらけというのみならず、アルバムの構成も、ほぼ完璧に近い。

Shame:いわゆるポストパンク的な音楽は、'70年代後半以降常に生きつづけながら、周期的に注目を集める傾向にある。'20年代のそれを体現しているバンドのひとつによる、セカンド・アルバム。かっこよすぎる。

Billy Bragg:政治的主張と温かい人間味の共存。デヴィッド・バーンやブライアン・フェリーと並ぶ、ぼくのモスト・ファイヴァリット男性ソロ・シンガーのひとり。アルバムをしめくくる〝Ten Mysterious Photos That Can't Be Explain(説明できない10枚のミステリアスな写真)〟のメロディー(コード進行)の一部が、アジアン・カンフー・ジェネレーションのぼくが大好きなある曲に似てて、ちょっとびっくり(笑)。

伊藤 英嗣
(音楽評論家‏‏/翻訳家)
音楽評論家‏‏/翻訳家 伊藤 英嗣
WEB
BIO

クッキーシーン創刊編集長。2022年の目標は、コロナ禍突入以降止まっているクッキーシーン・ウェブサイトの更新を復活させること、そして5年以上作業をつづけているポストパンク・ディスク・ガイド書籍を完成させること。後者に関しては、まるで自分自身がマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやザ・ストーン・ローゼズになったような気分(笑)ですが、がんばります。

ページTOPへ戻る