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(2020.12.24)

2020年ベストアルバム

2020年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

「THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020」 - 佐野元春

元春さんの曲には、どんな時もいつの時代も勇気づけられる。コロナ篭りで鬱々としていた夏の夜、ラジオから流れるGotchと元春さんの対談にどんなに希望をもらったことか。「エンタテインメント!」を聴くたび、希望が仄かに見えてくるのだ。

「ストレンジピッチャー」 - ガガガSP

春の緊急事態宣言中に、散歩をしながら聴いたアルバム。どの曲もいいけど、山本聡さんの曲「野バラ」が特に大好きで、何か作品を作るときに、何か音楽を奏でるときに、何か言葉を発するときに、自分がつい感じてしまう、自分の陳腐さへの不甲斐なさや、またありふれた言葉を使ってしまったというもどかしさ、そんな逡巡への歯がゆさを、この曲は歌っているからなのだろう。

「HELP EVER HURT NEVER」 - 藤井風

この世界には天才という人が確実に存在していて、藤井風は、天才だと思う。そしてその登場が世界をかえていくのだ。これから彼が世界をどう変えていくのか、とてもワクワクしている。

「door that wind」 - for instance

ギター番長・白井良明のあまりにもあまりにもカッコいいインストバンド。だけどこのバンドはやっぱりダブルドラムの圧倒的音圧の中で白井番長のギター鳴きをその場でビシビシ感じたい!!

「thaw」 - くるり

くるりのライブがコロナ禍で中止になって、ボクも泣く泣くチケットを払い戻し、そんな初夏にその代わりに発表されたアルバム。でも、だとすると、もしコロナ禍が無かったのならこのアルバムは世に出なかったのかと想うととても感慨深い。禍福は糾える縄のごとしとでもいうか。

「BE」 - BTS

全く興味がなかった韓流を、韓流と感じさせられずに没入してしまった。「Dynamite」のAmerica’s Got Talent 2020の動画がものすごくカッコよくて、こんなオッさんがキュンキュンするんだから、BTSって若い人にはたまらないだろうなーと思いつつ、ダイナマイトといえばSMAPだよなと思い返して、SMAPの過去映像を見返したらめちゃめちゃカッコよかった。アイドルという存在の、その凄さを(初めて)実感しました!

「LOOK FOR THE LIGHT – Memorable Song Collection / SADAO WATANABE」 - 渡辺貞夫

子供のころから(当然)知っていて、だからちゃんと聴いてこなかったミュージシャンってのがたくさんいる。世界のナベサダさんもそう。秋の夜、NHK-BSで過去のツアーのドキュメントをやってて、瞬間でファンになってしまった。急いで検索したらちょうどブルーノートでライブをやっていて、観に行った。87歳!!!ありえないくらい素晴らしい!写真家としての彼の作品も素晴らしくて、リオの海を撮った写真も買ってしまった。

「GODIEGO GREAT BEST 1」 - ゴダイゴ

すいません、2020年発表のアルバムではないのですが、コロナ禍で移動できない時に、まさに世界を旅するように聴いたゴダイゴの楽曲。巡礼の歌である「ホーリー&ブライト」が大好きで、拙著『天才になる方法』の装画をイラストレーターの福田利之さんにお願いした際のコンセプトは「君にだって見えるよ、きらめくその星が」なのです。

「筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997」 - 筒美京平

:これも2020年発表のアルバムではないのですが、1997年に発売されてその時買った『筒美京平:HITSTORY』CD8枚組を追悼の意を込めて移動中とかよく聴いています。凄い名曲の数々。いや、正確に言えば名曲という類ではなく、時代を作った曲の数々。ディスク6とか、本当やばい。今のところ自分的No.1は、稲垣潤一さんの「ドラマティックレイン」かなあ。
そして自分的今聴いて一番の衝撃は、松本伊代さんの「TVの国からキラキラ」かなあ。

「Lives By the Sea」 - Gotch

自分も11月に東京を脱出して、海の近くに拠点を移した。まさに、東京にいる意味を自問自答している時に、このGotchのアルバムが到着した。海まで歩きながら心地よく聴いている。
この2020年は、コロナ禍だったり、親族が亡くなったり、ボクの中でさまざまな変化のきっかけになった年だった。
最近、何かがわかりかけてきてる気がする。その何かとは、何かのだいたいはだいたいよくわからないということ。いいも悪いも正しいも間違いも好きも嫌いもない。というかいいも悪いも正しいも間違いも好きも嫌いも流転する。その瞬間にそう思ったってことでしかないみたいだ、よくわからないけども。
むしろいいって感覚を覚えると何でもいいってことになる感覚。とても不思議な感覚。その瞬間の稚拙さも不快さも悲しさも、それが存在してるということ自体がむしろ自分の存在証明なわけで。自分の存在が消えればその瞬間の稚拙さも不快さも悲しさも消えてなくなるわけで。その想い自体が生きてる自分。
とすると、いいものだけを選びたくないとでもいうか。いいことだけをしたくないとでもいうか。流転する想いの中で、ぶれていくあやふやな自分の中で、不確かで不透明な時代の中で、いつか消えてしまう自分が、その瞬間に出会ったものだけが真実とでもいうか。

角田陽一郎(バラエティプロデューサー)

角田陽一郎

WEB
https://kakutayoichiro.themedia.jp
http://twitter.com/kakuichi41

BIO
バラエティプロデューサー/文化資源学研究者
1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」審査員、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。2017年よりフリー。現在、東京大学大学院文化資源学を専攻中。
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