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(2019.12.27)

2019年ベストアルバム

2019年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

『1000 gecs』- 100 gecs
レストランでコース料理を注文したらデザートの小皿みたいなのにステーキとハンバーグとスパゲティーとクランベリーソースがドチャクソに乗っかって出てきて、「いや乗せる皿間違ってる!ていうか乗せすぎやろ!乗せ方もクセ強すぎ!でも美味しい!」って感じのアルバム。何言ってるかわからないですよね。僕にもわかりません。でもそんな無茶苦茶なのにキャッチーで恐ろしく聴きやすい、突然変異型ポップミュージック。映像で見る限りライヴめっちゃ面白そう。観たい。

『amo』- Bring Me The Horizon
今年一番聴いたアルバムです。Spotifyの再生回数のトップ10はほぼこのアルバム収録曲でした。トラップやビートミュージックを意図的に取り入れ、大胆なサウンドチェンジを図っています。ですがメタルコア/デスコア出自の彼等でしか出し得ないダークでヘヴィなグルーヴはしっかり健在、リリックがタイトル通り「愛」についての、Vo. オリヴァーの痛みや心情をこれまで通り描いているのもその要素。 ロックという概念や定型を突き破って更新する、しかもそれが自分達がロックバンドとしてやるべきと捉えているキャリア最高傑作。売れるためのそれとは一線を画すポップミュージック。 今年のサマソニ、Zepp大阪での単独ライヴは、長年のファンなのですが、今まで観た彼らのライヴで1番良かったです。ほぼ全曲シンガロングの嵐で本当に感動的で、現代においてロックバンドがエンターテイメントとして勝てる全てを尽くしているという感じで、優勝です。

『Norman Fucking Rockwell』- Lana Del Ray
アメリカ庶民の生活を軽妙なタッチで描く画家の名を冠し、ルーツである「古き良きアメリカへの情景」を色濃く反映させながらも、硬いビートであったり分離の良い現代的なプロダクションのおかげで重っ苦しく聴こえないという素晴らしいアルバム。ほぼ同タイミングだった映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも通じる世界観があって、ドラッギーなエフェクトなんかは明らかにあの時代っぽさを感じます。意外にも彼女が大ファンだというSublimeの”Doin’ Time”のカヴァーも最高。

『Diaspora』- GoldLink
彼が提唱する”Future Bounce”に相応しいジャンル複合型のヴァラエティに富んだ作品。レイドバック効かした感じで来るのか~と思いきや、アフロビートを取り入れた跳ねる様なトライバル調なダンストラックもちらほらあって、これが良いフックになってましたね。タイラーの”IGOR”よりも個人的な好みはこっちかな。夏に良く聴いてました。

『Fear Inoculum』- Tool
毎年必ず噂になる「今年はToolがアルバム出すらしい」が、遂に生きてる間に実現。泣。一回聴き始めたらやめどきがわからなくなる暗黒変拍子の数々。所謂ヘヴィロックの攻撃力よりかはバランスが素晴らしく、ストーナーっぽい曲もいちいちめんどいリフ(褒め言葉)曲もあって、奥行きが凄い。一生聴けます。

『Dos City』- Dos Monos
全編に渡り不協和音でアブストラクト、最近のトラップでも所謂ヒップホップでもないドロドロした質感。 リリックの情報と知識の圧倒的な量にも何回リピートしても発見があって食らうし、何かヤバいものを聴いてる感覚に陥ります。 今年3月に出演した同じイベントの別フロアをウロウロしていた時に、たまたま観たライヴがめちゃくちゃ格好良かったのも印象的です。

『ANGELS』- THE NOVEMBERS
リリース前から「ヤバそう」とじわじわ盛り上がっていましたが、本当にヤバかった。NINの様なノイズ/インダストリアルも、ニューウェイヴも、シンセポップも、インディーロックも、全て交差して混沌と化していく様な、正に2019年の東京を切り取ったかの様な作品。毎回進化して更に深みを増していく彼等は本当に凄いですね。リスペクト。

『Hi This Is Flume』- Flume
ゲストにslowthai、JPEGMAFIA、SOPHIEらをフィーチャー、HWLSやEpromとのコラボを含むミックステープ。現在進行形のエクスペリメンタルなダンスミュージック、攻撃的で暴力的なノイズやビート満載のめちゃくちゃハイパーな仕上がり。 YouTubeにはヴィジュアライザーと一緒にアップされてるのでその世界観をたっぷりと味わうならそちらがオススメ。 サマソニで観たライヴは「全く意味がわからなくて爆笑、でもクッソ踊れるし最高」としか本当に言いようがない、今年のベストパフォーマンスでした。

『We Are Not Your Kind』- Slipknot
傑作”Iowa”レベルのへヴィーなアルバムになるだろう、と制作段階で語っていた通りそれに全く引けを取らないアルバム。 ここ何作かの中では一番好きですね。でも焼き直しでただ単にへヴィーなわけではなく、トラップっぽいリズムやブレイクビーツの導入、パーカッションの多様さであったり彼等なりのクラフトマンシップが伺えるのが特に良いところ。”Orphan”は今年のイントロがち上がり大賞。

『Vandalism』- NAHAVAND
2人が制作するのを身近に感じながらいたので、本当に思い入れのあるアルバム。ロックとヒップホップの真ん中をちょうどぶち抜く、良い意味で「混ざってない」。 一緒にリリパを開催できたのは今年一番の思い出。

今年も参加させていただきありがとうございました!今年は敢えて皆さんがあまり選んでなさそうなものを中心に10枚セレクトしてみました。ビリー・アイリッシュとかタイラー・ザ・クリエイターとかめっちゃ聴いてたけど外してます。良い意味でも悪い意味でも10枚選ぶのは大変でした、、!今年は個人的にはインダストリアルやヘヴィミュージックなど、怒りを携えて表現した音楽を聴くことが多かった様な印象の1年でした。来年は4月にコーチェラに遊びに行くのと、崇拝するNine Inch Nailsが新たな音源を出してツアーしてくれるらしいのでそれがすごく楽しみです。

DJ KiM

image_djkim

BIO
大阪生まれ、大阪育ちのDJ。2014年にDJ SEOと出会い、彼が主宰するGROOVER/ALTER-NITEに加入。2016年からは田中宗一郎が主宰するCLUB SNOOZER OSAKAのサポートも務める。2017年には同世代の仲間とGEEKS AND FREAKSを結成、これまでに4回同イベントを開催。2018年1月には、NAHAVANDと共に初主催のオールナイトパーティ"Vandalism"を主宰。これまでゲストとして小林祐介(THE NOVEMBERS)、Olive Oil(OILWORKS)、環ROY、mabanuaらを招聘した。2018年11月よりNAHAVANDのLIVE DJとしてサポートメンバーに。2019年には新パーティ・”TwinTail”を真如 究と共に始動し大阪東京間で2回に渡って開催。東京編ではDJ BAKU(KAIKOO)やJin Tanakaらを招聘した。

”Vandalism”Spotify playlist → https://open.spotify.com/playlist/68Y7Mu1d1hE7BvgJutjCPi?si=f5JJhH8GQ7SH6-pQe9LKDQ

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