INTERVIEW
2017年ベストアルバム
2017年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

後藤 正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

Phum Viphurit

Iron & Wine

Yogee New Waves

細野晴臣

Ryuichi Sakamoto
順不同。
今年発売されたレコードの中から10枚を選び、それに順位をつけることは不可能だ。と言うのも、年々、リリースされる楽曲が増え続けている印象がある。リスナーにとっては幸せな時代になったけれど、じっくり楽しむには作品が多すぎる。あと8つくらい耳が欲しい。
Chris ThileとBrad Mehldauの仕事はとても素晴らしかった。Brad Mehldauのライブ盤のボックスセットも良かったし、遡って聴いたChris ThileのPunch Brothersのアルバムも良かった。ノンサッチというレーベルはレコードの音質が良くて、本当にはずれがない。
Dirty Projectorsのアルバムは鮮烈だったが、戸惑いもした。インディロックがどのような音像に向かえばいいのかという問題は、この作品以降のシーンに横たわったままのような気もする。
JJJの素晴らしいところは、トラックの記名性の高さだと思う。星の数ほどのトラックメイカーが凌ぎを削るなかで、「らしさ」を手に入れるのは簡単なことではない。PUNPEEやJJJはそれを手にしている。一緒に仕事をしてみたいプロデューサーのひとり。
多くの日本のロックバンドはFather John Mistyのような、知的なアーティストの爪の垢を煎じて飲む必要があると思う。俺もそのひとりだけど。アートを仮想敵にしないで、ポップミュージックに宿る芸術性を信じたい。少しのユーモアも付け加えて。
Samphaはとても良かった。今年、一番聴いたアルバムだと思う。どこが良いのか悪いのかを言葉にするのは難しいけれど、とにかく自宅のレコードプレイヤーの上に乗せる日が多かった。アッパーでもダウナーでもなく、肌に合った。
ゲントウキの田中くんのツイートで知ったタイのPhum Viphuritも良かった。アジアのバンドにもサラっと出会える時代になったのだと思うと、感慨深い。これからは、もっとたくさんのアジアのバンドと出会える時代になるはず。
Iron & Wineの変わらなさは、ロックやフォークの長い歴史の川下で、どのような射程で音を鳴らすのかということについて考えさせられる。バキバキの前衛だけが、アートではない。
Yogee New Wavesのアルバムはキラキラして美しかった。バンドのキャリアの中で何枚とは作れない青春の一枚だと思う。ロックバンド不遇の時代にあって、ロックバンドにしか作れない音楽があるのだということを証明している。
細野さんと教授の新譜も刺激的だった。思索と技術。それは縦糸と横糸で、作品は言わば織布だろう。ロールモデルと呼んでしまうと不遜な感じもするけれど、探求に終わりがないことを後進に告げるような作品だと思う。最高に格好良い大人だ。
あとは、10枚には選ばなかったけれど、折坂悠太の『なつのべ』というライブ盤(配信のみ)が最高だった。そして、今、もっとも新譜が楽しみなバンドはPinegroveというアメリカのバンド。
来年も素敵なアルバムに出会えたら嬉しい。

- 2025.10.20
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only in dreamsがオフィシャルnoteを開設。メンバーシップをスタート。 スタートにあたり後藤正文からのコメントも到着
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[Alexandros]─ 古田琴美
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KONCOS─ 古田琴美
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くるり─ 古田琴美
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04 Limited Sazabys─ 古田琴美
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Predawn─ 古田琴美
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Gotch─ 古田琴美