oid_logo

HOME » INTERVIEW » 2016年 ベストアルバム » 後藤 正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

icon_h2 INTERVIEW

(2016.12.22)

2016年ベストアルバム

2016年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

後藤 正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) が選ぶ2016年 ベストアルバム

jk_coloringbook
Coloring Book
Chance The Rapper
Blonde [Explicit]
Blonde
Frank Ocean
Party
Party
Andy Shauf
22, A MILLION
ザ・ゲッタウェイ
The Getaway
Red Hot Chili Peppers
Blackstar
Blackstar
David Bowie
SHIP
The Ship
Brian Eno
JaPo
JaPo
UA

今年は素晴らしい作品が多くてとても楽しかった、と多くの音楽好きが語る一年だったのではないでしょうか。

とにかく世界中で「新しい」作品がどんどん生まれていて、それは去年も今年も来年も、再来年だってそうなんですよね。一方で、新生児のような今年生まれの「新しさ」ってのは、今年に生まれたってだけで担保されてしまう。そういう時代にあっては、もっとじっくり個々の作品と向き合わないと聴き逃してしまうことだけが増えてゆくように感じます。でも、これは職業病のような耳や思考の話でもあって、もっと無邪気にポップミュージックに浸りたい、あるいは発散したい自分もいる。そういうこんがらがった回路で選んだ10枚がこちらです。

Chance The Rapperのアルバムには胸だけでなく身体も躍りました。音楽とはこういったフィーリングで鳴らすべきなんだと再確認しました。Flank Oceanも然りですね。こういう音楽がMixTapeというかたちで、無料でリリースされていることはとても興味深いことです。ポップミュージックの制作とマネタイズはなかなか切り離して考えることが難しいのですが、その本質にも迫りつつ、未来への何かヒントになるような作品であり、2016年を代表する二枚(CDにもLPにもなっていない!)だと思います。でも、個人的なフェチとしてレコードで聴きたいですけれど。

ホッチリことRed Hot Chili Peppersの新譜は近年のRadiohead的な手法で彼らの音源が解体/再構成されていて、毎度のカリフォルニア感がまったくないところに驚きました。容赦ないなと。今年最も参考になったサウンドプロダクションでした。UAのアルバムの素晴らしい録音にも驚きました。アンビエントと歌モノを衝突させるヒントをもらったというか。とても美しい作品です。

Bon Iverのぶっ壊れたデジタルノイズとボーカルエフェクトは斬新でしたけど、彼の客演している作品はどれもそれぞれに素晴らしくて、それゆえに選出したところもあります。だったらキーマンはFrancis And The Lightsなんじゃないかという問いもあるかもですが、ジャスティン・バーノン(Bon Iver)のフィーリングが最も琴線に触れるというか。

David BowieやBrian Enoは自分のソロ作品への影響が大きかったですね。年老いて尚、このような作品を作り続けるアーティストがいることは、とても大きな希望です。Weezerがこうしてみずみずしい新譜を作ってくれたことにも感動しました。

Andy Shauf、Whitney(選外にしたけれどCar Seat HeadrestやHazel Englishなども)は若いバンドマンたちに聴いてほしい作品です。彼らと張り合うような音楽が日本のそこかしこで鳴ってくれたらなと期待しつつ、僕もまた地道に新しいフィーリングを鳴らせたらなと思います。

後藤 正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

image_gotoh

WEB
gotch.info

BIO
ASIAN KUNG-FU GENERATION、THE FUTURE TIMES編集長、など。

▲ページTOPへ戻る