INTERVIEW
2014年ベストアルバム
2014年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
加倉伸也(アイウエアデザイナー) が選ぶ2014年 ベストアルバム
Kevin Morby
Woods
Tijuana Panthers
Cloud Nothings
J.mascis/Tied to a Star
J.MASCISのソロは基本的には前回と変わらない内容ですが、もうこの人の作る曲と声が好きなので必然と愛聴盤に。
今回はすこしバンドっぽい曲もあったりして。。。早くダイナソーJrの新作が聞きたくなりました。
Kevin Morby /Still Life
Kevin Morbyのことは元々知らなかったのですが、ネットの音楽サイトを見ていた時にこの人の宣材写真を見つけて、その雰囲気のかっこよさに惹かれて調べてみたら、なんとTHE BABIESのメンバーでこの後紹介するWOODSの元メンバーということでした。
2012年のTHE BABIESの新作はよく聞いていて、そのPOPなメロディーと少しひねたアレンジが好きだったので迷わず新作を予約して手に入れました。
曲はUSトラディショナルフォークの現代解釈というのか、シンプルなバンドサウンドですが、ここでもヒネたアレンジとソングライティングの良さが際立っていて非常に良い内容です。
LOU REEDに向けた曲も入っていてその点も愛聴したポイントになりました。
Woods /With Light & With Love
Kevin Morbyが以前いたバンド、WOODSの8枚目。確かPITCHFORKのシングル紹介で知りました。
音はやはりシンプルで、少しサイケの入ったFOLKという感じです。4曲目がかっこいいです。
このあたりのレイドバックした音のバンドが最近かなり増えたような気がしますが、ソングライティングが良くてオリジナリティがある
バンドはごく一部で、なかなか出会えないのでこれはラッキーでした。
Tijuana Panthers/Wayne Interest
これはジャケに惹かれてレコードを手に入れたバンド。米ロングビーチ出身の3人組ガレージ・ロックバンドらしく、演奏はかなりラフですがギターに強めにかかるリバーブがかっこいいです。
音とジャケの雰囲気から、’50s系のやんちゃなバンドの雰囲気を想像したのですが、音作りが何か確信犯な感じだなあと思って本人たちの風貌をYOUTUBEで見たら、、、やはり普通のお兄さんたちでした(笑)。
Cloud Nothings /Here & Nowhere Else
他の方も紹介していると思いますが、今年前半よく聴きました。
アルビニがプロデュースした前作が、オルタナ感が強くてとても好きだったのですが、敏腕プロデューサーを迎えた今作は、オルタナ感は失わずポップ感が増していてとても聴きやすくなっていたと思います。
HABIBI /HABIBI
これは入ったレコード屋でかかってて、これ誰ですか?って聞いて買ったよくあるパターンの1枚です(笑)。
復活したSLEATER KINNEYのようなライオットガール系にパンクやサーフミュージックのエッセンス、
ジャケットのような中近東の雰囲気などを混ぜたガレージバンドでちょっと不思議な感じの音です。
ここ最近多い女性バンドの中ではオリジナリティがあって良かったです。
WEEZER/Everything Will Be Alright in the end
待ちに待ったニューアルバム。
今回は曲とアレンジがバラエティに富んでいて最後まで一気に聞けるアルバムになっていました。
メタルやハードロックをエッセンスに、あくまでもPOPなWEEZER節は健在で、
ところどころクイーンを感じる場面に思わずニンマリした実に好内容のアルバムでした。
くるり/The pier
今作が間違いなく、くるり史上の最高傑作なのではないでしょうか?
前作も評価が高く最高傑作にあげる人が多かったのですが、正直自分には曲それぞれは良いのですが、
アルバムとしては少しまとまりが無い様に感じていました。
今作は、そのまとまリという部分では曲それぞれがしっかり結びついており、
また曲も更にグレードUPした完成度で非の打ちどころがない内容になっていると思います。
もう日本の音楽シーンの中ではジャンルを完全に超越した感があり、
海外でも引けを取らないのではないでしょうか。
またこのアルバム発売後のライブも最高で、
今まで何度も見た彼らのライブの中で一番といえるものでした。
現在のくるりが如何に充実しているかが分かるかと思います。
高橋幸宏&METAFIVE/TECHNO RECITAL
高橋幸宏&METAFIVE(小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI×ゴンドウトモヒコ×LEO今井)による一夜限りのライブを収録したライブ盤です。
これがYMOファンだった自分には、懐かしいというより今のバンドの音として実に新鮮に聞くことができた内容でした。
バンドサウンドにエレクトロを加えた音が今自分には一番しっくりくる音なのですが、
これはその加減が非常に良い塩梅でもう最高にかっこいいです。
運よくライブもこのアルバムが出た後に見ることが出来たのですが、生も最高でした。
いま新曲が最も聞きたいバンドで、今後の展開に期待しています。
蓮沼執太フィル/時が奏でる
日本のインディーシーンも盛り上がっていて、いろいろなバンドが話題になっている様ですね。
個人的にはバンドサウンドでしっくリくるものはあまりなかったのですが、これは別格。
キャプションに『蓮沼執太がコンダクトする、 総勢15名が奏でる現代版フィルハーモニック・ポップオーケストラ』と書かれているようにちょっと変わった存在。もともとオーケストラで楽器をやっていた事のある自分には、その音にスティールパンやラップをのせる方法論はアイデアとしてはありだなぁと思うのですが、一歩間違えば取ってつけた感が出てチープなものになりがちなものを、実にうまく融合して表現しています。
時折、Sufjan Stevensの『ILLINOISE』を思わせる場面もあったりして。。。
今後の動向も気になりますが、とにかくいいホールでライブを見てみたいものです。
今年は10枚を選ぶのに苦労しました。
ここに選んだ以外にもよく聞いた新譜はいっぱいあるのですが、今回は今年の自分にとっての重要度が高いものを中心に選びました。なので自分にとって、2014年に新たな『何か』をもたらした10枚と言えるかと思います。
あと、私個人で言えば今年はとにかく忙しかった1年でした。
オン、オフともに新しい出会いが多く充実していて、年末に至っては1週間が7日では足りないほどでした。
来年は今年の出会いに感謝しつつ更なるステージを目指して頑張ろうと思います。
加倉伸也(アイウエアデザイナー)
BIO
OLIVER PEOPLESデザインチームの一員として数々のデザインを手掛ける一方、さまざまなコラボレーションなども多く手掛ける。またファッションブランド、ミュージシャンのオリジナルなども多く企画・デザインする。
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