INTERVIEW
───ボーナス・トラックであなた達のシングル曲
『A ROSE IS A ROSE (Japanese Version)/ レンタルズ & MASAFUMI GOTOH』が収録されていますが、この曲に関して詳しく教えてもらえますか?
そして日本には沢山のバンドがいる中、なぜ後藤氏にボーカルと歌詞をお願いしたのでしょう?
マット : まずこの曲は他の収録曲と違って、このアルバムの為にレコーディングされたわけではないということ。この曲は「SONGS ABOUT TIME」というレンタルズの新作プロジェクト用にレコーディングされたんだ。このプロジェクトを通して、僕達は違う国のアーティスト達と共演をしたんだ。日本、スペイン、フランス、ポルトガルそれぞれのボーカリスト、俳優、声優らと共演した。昨年一年を四季で4分割し、それぞれの季節毎に1言語与えたんだ。そして最後に短編映画にも取り組んで、僕とゴッチがスカイプで会話をしている様子を映像で押さえたんだ。
元々は、僕からゴッチに「このプロジェクト用に日本語ヴァージョンを作って歌ってくれないか」とお願いしたんだけど、そこでゴッチはこの曲を選んだんだ。「僕はこの曲を取り上げたい」と言ってね。「一番歌詞を訳すのに難しい歌を選んだんじゃないか」って僕はその時思った。というのも言葉遊びがたくさんあったり、内輪ネタがあったりして、とにかく訳し難い歌だと思った。直球のラヴソングとかだったらどんな言語にだって簡単に訳せるだろう。「僕達は結ばれていた。でも君がいなくなって、僕は寂しい。戻ってきて欲しい」という具合にね。なんとかなるもんさ。
でも彼はよりによって、比喩表現だらけで、捻った表現があったり、英語とフランス語を混ぜていたり、誰の経験にも基づいていない完全な作り話だっていう、そんな歌を選んだんだ。
当然彼は僕達があの歌に込めた意図というのを大体理解していたとは思うけど、言葉の違いについて彼と一度話してみたかったんだ。例えば彼はこの曲のタイトルにぴったりの訳はないと言った。
"A Rose is a Rose"に当てはまる上手い日本語はないってね。僕にとってはそういうことも凄く興味深かった。同じプロジェクトに携わっている人とじっくり話し合うのが今凄く好きなんだ。新しい世界観とかが見えてくる。
「"A rose is a rose"にぴったり合う訳は日本語にない」「えっ、ないってどういうこと?そのまま訳せばいいんじゃないの?」「それじゃ、全く意味が通じないっす」って具合にね。
しばらく2人で笑ったよ。
ということで、僕とゴッチはこのプロジェクトの最終日という、僕にとっては凄く意義深い日にスカイプを通して話をしてその様子を収めた短編映像も作った。ちょうど今年の正月のことだよ。
だから彼には心から感謝しているんだ。最初に話した、NANO-MUGENで僕を危機から救ってくれたことから、僕達の曲を直ぐに覚えてくれたこと、僕達を自分達のフェスに呼んでくれたこと、そして早朝6時か7時に起きてくれて僕達が作った映像に出演してくれたこと、この歌を日本の歌詞をつけて歌ってくれただけに留まらず、アジカンで「HELLO HELLO」をやってくれたこと、全てに感謝している。信じられないよ。どうすればきちんと御礼ができるだろうかって思わずにはいられない、僕の新しい友達さ。本当に懐が深いと思うし、これだけ多岐に渡って自分達の活動を応援し続けてくれて光栄だよ。彼もきっと心の中では「なんで朝7時に起きてスカイプなんかやらなきゃいけないんだよ」って思っていただろう。「何?しかも映像で抑えるって?」ってね(笑)。いかにも寝起きのような髪で、目を擦っていたし。こっちは夕方だったんだけど、とにかく素晴らしい経験ができたし、彼とそれを共有できたのは本当に光栄だ。
───レンタルズが今回のトリビュート盤にも象徴されるように、ジャンルを横断して様々な種類のバンドにリスペクトされている現状についての認識は?
マット : さっきの再結成ライヴの時の話と同じで、純粋に驚愕しているよ(笑)。
謙遜とかそういうんじゃなくて、ただただ驚いている。例えばゴッチのような人がここまで関わってくれることも非常に光栄だし。最初に今回の経緯について質問があったけど、彼等は独自で「HELLO HELLO」のカヴァーをやっていて、今回せっかくだからレイチェルとやりたいとまで言ってくれたってのは、もの凄く嬉しいよ。
どれもそう。とにかくびっくりだよ。友達からヤー・ヤー・ヤーズのことを聞いた時もまず「何だって?!」って言ったし(笑)。「何だって?!それは確かか?」ってね。「カレンOが君の歌を歌っているんだよ」と言って友達は受話器越しにその曲を聞かせてくれたんだけど、僕はちょうど空港にいたし、遠くで微かにしか聞こえなかったんだけど、なんか不思議な感じがしたよ。間違いなく、嬉しいことだよ。
───最近の活動は?先ほども少し話に出ましたが昨年音楽、映画、写真をテーマにした作品(SONGS ABOUT TIME/FILMS ABOUT WEEKS/PHOTOGRAPHS ABOUT DAYS)を発表しましたよね。そのコンセプトなどを教えて頂けますか。
マット : 2009年1月に僕達は「SONGS ABOUT TIME」というプロジェクトを始めたんだ。それが何かというと、一年という期間の中で行われるマルチなアート・プロジェクトなんだ。何をしたかというと、まず35ミリのフィルムでフィルム1本分の写真を毎日撮り続けた。で、そのフィルムを現像せずに、ロールに日付を書いて貯めていった。
それから短編の映像作品を毎週1本撮り続けた。5分くらいの短いものをね。一年を通して毎週1本映像作品を作ったから去年1年で52本の映像作品を作ったことになる。そして毎週火曜日に新しい映像をtherentals.comのホームページにアップした。
そして3ヶ月毎に1枚ずつ4枚の新作アルバムをレコーディングした。全部で42曲にもなる。ゴッチが歌っている「A Rose is a Rose」の日本語ヴァージョンもその42曲の中の1曲なんだ。
それぞれtherentals.comのホームページでも発表して、そして全部入れ込んだパッケージも作ったんだけれど。凄く待ち遠しいよ。パッケージには僕達が作った4枚のアルバムのアナログとCD両方、52本の映像作品を集めたDVD、僕が撮り続けた写真を集めた写真集、それとまだ現像していないフェイルムのロールが1本が入っている。つまり、去年とった写真のロールを一人一本貰えるということ。
それが僕達が取り組んでいた壮大なプロジェクトで、ここ2ヶ月くらいはとにかく全てが順調に進んでいるか確認作業ばかりだった。去年は全てデジタルでリリースしていたけど、今年はそれらが全てフィジカルな商品になる。僕達もワクワクしているよ。しかも、かなりの限定商品になるからね。とにかく早くみんなに知らせたいんだ。この365人の為に僕達は音楽、映像、そして写真を作ってきたわけだからね。音楽だけを何曲か抜粋していずれは正規の商品を作ることも考えているけど、その他のものも含め、僕達はこの凄く限られた人達の為に去年1年を費やしてきたんだ。
───買い損なう人も出てきそうですね?
マット : そういう主旨のプロジェクトだったんだ。一年を讃えるという主旨のものだから、どんなに大変だろうと365個にはこだわりたかった。それが来週から世に出る。企業を通してやっていることじゃないし、僕達の活動を心から支持してくれている人達に直接届けるために全て自分達の手でやった。映像作品なんてこれまで作ったことないけど、やってみようってことになった。もちろんそれに合う音楽も書き下ろしたしね。あり得ないくらい誇りに思っているものだよ。
───今後の活動予定を教えてください。
マット : 当分はこのプロジェクトに専念することになる。かなり手の込んだものだから、ちゃんと行くべきところに行くべきものが届けられるか自分の目で全て確認をしたいんだ。
決して安いものではないから、せっかく僕達を応援してくれている人達にきちんと行き届ようにしたい。その先はまだ未定だよ。
今回のプロジェクトで多くの人達と一緒に仕事をすることができたのは確かで、凄く刺激になった。いろんな人達と真剣に一つのプロジェクトに取り組むことができ、組む相手がその時々で変わるというのも凄く面白かった。そういうことを今後もっとやっていきたいと思う。そして今回のような国際的なプロジェクトもさらにやっていきたい。今回は映像も英語以外に3つの違う言語のものを作ったからね。全編でなくても、部分的にでもその言語が含まれているという具合にね。そこも凄く今回のプロジェクトで気に入ったことなんだ。違う文化の人達と組んで何かをやることで、常に新しいことを学ぶこと。そうやって自分の視野が変わっていくのが何よりも刺激的だったんだ。
2010年5月 電話インタビューにて
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INFORMATION
レンタルズトリビュート
LOST OUT IN THE MACHINERY2010.6.23 ON SALE!! / KSCP-936 / ¥2,520(tax in) / only in dreams / Ki/oon Records 元ウィーザーの元祖泣き顔男、マット・シャープ率いるレンタルズ。彼らの楽曲を愛するバンド達によって、今極上ソングが蘇る!日本盤のみレンタルズ最新シングル"A ROSE IS A ROSE"の日本語ヴァージョン(THE RENTALS & MASAFUMI GOTOH)をボーナストラックとして収録! |
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